『……大変ですのよ、こちらの部屋で、』


 あぁ、誰か来たのね。もう終わりだわ。そう思っていた。そうしたらレイ様と副隊長様が倉庫に入ってきた。


 助かった。って思ったけれどレイ様私に幻滅しているかも……






『今すぐにリュシエンヌから離れろ!』

『リュシエンヌ大丈夫か!』

 レイ様が来てくれた。レイ様のお顔を見たら安心した。来てくれたのが嬉しい。

『レイ様……』

『リュシエンヌ……すまん少し目を瞑っていてくれ』

 レイ様は手足を解いてくれようとしていたけれど、レイ様の手は震えていて、短剣でそっと解いてくれました。その手はとても優しくて泣きそうになりました。
 

『絶対にレイ様が助けに来てくれると思っていました……』
『遅くなって悪かった。心細かったよな……よく頑張った』

 レイ様に触れられる事が嬉しくて抱きつきました。

『リュシエンヌちゃんが無事でよかった……何か変なこと、』
『レオン、それ以上言うと(殺す)』


 変なこと……この状態がおかしいので何が変なことなのか分からない。



『……グレイ、リュシエンヌちゃんが潰れるぞ』

『は、すまん。苦しかったか……』


 レイ様が離そうとしてきましたから、また私から抱きつきました。離れたくありませんもの。こんな事があってもレイ様は変わらずに私を許してくれる? 愛してくれる? これが最後になるの?

 背中を優しくさすってくれるレイ様に縋り付くように力を入れました。


『さて、どうするかね……』

 副隊長様は普段の優しい顔はなくて厳しい顔つきでした。やはり副団長様なのですわね。



『まぁ。レオン様ったらそんなに怖いお顔をして……わたくしはただそこの令嬢とシオン様の逢引き現場を目撃しただけですのに……』

 逢引きをしていたから私がいなくなったって、無理がありすぎる。


『手足を縛られた状況で逢引きとは物騒だな。君はそういうプレイが好みなのか?』

『……レオン様になら何をされてもよろしいですわ』

 ふふっと笑うソレル子爵令嬢が薄気味悪く映りました。本当に危険な令嬢なんですわ……


『伯爵令嬢でありグレイソンの婚約者を連れ去ったのはお前達で間違いないな?』


 レイ様はふるふると震えていました。


『連れ去っただなんて! 逢引きですわ! ねぇシオン様』

『そうです。私とリュシエンヌは密かに愛し合う仲なのです。リュシエンヌ、演技は良いから私のところへ』

 レイ様が男の手を叩いた。あの手が気持ち悪い。私の名前を言いながらぶつぶつと何かを言っていました。