などと優しく? 言ったところでリュシエンヌからしたら残酷な事だろう。リュシエンヌは優しいからもっと軽い罰を。と言ってくる可能性もある。

 私達からしたら軽すぎるんだが……



「リュシエンヌちゃん今日は疲れただろう? あの令嬢を放っておいた私に原因がある。本当に申し訳なかった」

 レオンがリュシエンヌに頭を下げる。

「副隊長様、頭を上げてください。私は無事ですし、レイ様や騎士団の方が必ず助けに来てくれると信じていました。副団長様こそ大変な思いをされたと思います。ご自分を責めないで下さいね? 今回のことは外部に漏れることはないと聞きましたから……」


 リュシエンヌよ。辛い思いをしたのは自分なのになぜそんな言葉が出るんだ……そんな言葉をレオンに掛けるんじゃない! 

「リュシエンヌちゃん……君は本当に優しい心の持ち主なんだね。もっと早く君に出会いたかった……今の言葉で本当に好きになりかけたよ。婚約者がいなかったらこの場で求婚していたところ
「オイ!」

 レオンの肩を押した。


「なんだよ!」
「あっ?」

 リュシエンヌは私の婚約者だ。まさかこんなところに命知らずの者がいたとは…… 


「ふふっ。本当にレイ様と副隊長様は仲がよろしいのですね」


「そのようだな。うちの娘は親の私が言うのもなんだが本当に出来た子でね、嫁になんてやりたくないのが本心なんだよ?」

 にこにこと笑う伯爵の顔が恐ろしい。

「喧嘩するほど仲がいいと言うが、それは日を改めてしてくれ。こっちはリュシエンヌの身に何かあったらどうしようかと寿命が縮む思いだったんだよね?」
「えぇ……本当に」

 夫人が相槌を打つ。これは申し訳なかった。レオンの軽口(本気)に乗ってしまった。


「「申し訳ございませんでした」」

 こう言う時レオンと息がピッタリなのも気がしれた仲だからだろうか。謝罪を口にした。


「……グレイソン殿、娘のことをよろしくお願いしますよ」

 そう言って夫人と部屋を出て行った。ハンナと執事にリュシエンヌが泊まる旨を伝えてあるので既に用意されているだろう。

 レオンも渋々? 部屋を出て行った。

「帰るか……?」
「……はい」





 家に帰るだけなのにこんなに緊張するとは。