「……自分勝手な男だな。私に嫉妬してリュシエンヌを欲しかった? リュシエンヌに心を奪われた。って知らんわ、そんなもん!」

「だよなぁ。騎士団は容姿で選ばれていない! たまたま顔のいいものが何故かうちの隊員に多いだけだ! 他の隊を見てみろ!」

「まぁ、そこはなんとも言えんな」

 私が言うのもおかしな話だが、むさ苦しい隊員も沢山いるからな。

「グレイは強面なだけで容姿が悪いわけではない。今更だけどリュシエンヌちゃんに見せる姿を見てモテ始めているだろ? でもグレイにはリュシエンヌちゃんがいればいいんだから勝ち組だよな」


 私と嫌々見合いをさせられたという令嬢も、嫌々紹介されたという令嬢も私の風貌を見て怖がって終わった。そんな姿を見て優しくなぞ誰がする? そこで終わりだ。

 初めてした見合いで宝石をねだられたことすらあったし、あの令嬢は私の地位と金目当てだった。その場で二度と会うことはない。と言うとケチだと罵られたが、心底どうでもいい令嬢だ。好きに言わせておけばいい。

 レオンの言う通り私にはリュシエンヌがいてくれればそれで幸せだ。だからリュシエンヌを傷つける者は許せない。