「お父様、わたくしはレイ様の事を信用しています。レイ様は絶対に助けに来てくれると思っていました。レイ様も辛い思いをされたのですわ。レイ様と一緒にいます」

 ……こんな私でも良いというリュシエンヌを愛おしいと思わずにいられない。

「おい……もしリュシエンヌをまた危険な目に遭わせでもしたらその命に変えて償ってもらうから覚悟しておけ」

「……約束します」


 モルヴァン伯爵はリュシエンヌに似て、綺麗な顔立ちをしている。そして怒りに満ちた顔はとても迫力がある。伯爵は家に連れ帰ると言っていたがリュシエンヌは私といたいと言う。無理やり連れて帰ろうとすると夫人が無理強いは良くないです。と伯爵を宥めていた。

「リュシーがグレイソン様といたいと言うのならそうさせてあげましょう」

 伯爵が折れた。この家でいちばん発言力があるのは夫人なのかもしれないな……


「すみませんが、まだ時間が掛かるのでその間はこの部屋に居てください。リュシエンヌを頼みます」

 あまり待たせるわけにはいかないが、報告だけはしといて後の処理を考えないといけない。