「隊長ではないですか」


「シオンか」
 
 人気No.3の騎士様ですわね。もうお名前は覚えましたわ。せっかくレイ様と良い感じでしたのに。

「リュシエンヌちゃん、今日も綺麗だね」

 あら、このお声は。レイ様の胸から離れてご挨拶しました。

「副隊長様、御機嫌よう。騎士様も先ほどはありがとうございました」

「リュシエンヌから聞いた。私が離れていた間にシオンが相手をしてくれたそうだな」

 レイ様に肩を抱かれました。婚約者って役得ですわ!

「いえ、大したことはしておりません。少しお話をさせてもらっただけです」


「リュシエンヌちゃん、良かったら私とダンスを、」
「え、ずるいですよ! 副隊長、モルヴァン嬢、私と、」
「しなくて良いぞ。お前達と踊りたい令嬢が待ちかねている。それに私たちはそろそろ失礼する」

「え、もう帰るのか? リュシエンヌちゃんとまだダンスしてないのに!」

「……しなくても良いと言った。リュシエンヌ帰るぞ」

「あ、はい。それではお先に失礼します」


 長居は無用と言う方もいますし、挨拶は終わりましたものね。腕を組んで歩き出しました。

「レイ様、お久しぶりの方もいらっしゃるのでしょう? よろしいのですか?」

「あぁ、問題ない。久しぶりなのは私が華やかな場に参加してなかったからだ。リュシエンヌがいるからこれからはなるべく参加する様にする。だから問題ない」

 レイ様はあまりパーティーに顔を出さなかったのですわね。伯父様の家のパーティーは、珍しく参加されたとのことですわ。珍しい誘いだったから裏があるのかと思った。との事でしたけれど、あの場でお会いしたのも運命ですわね。