リュシエンヌと付き合ううちに分かってきた事だが、リュシエンヌを可愛いと褒めると、すごく恥ずかしがるのだ。可愛いリュシエンヌに可愛いと言って何がおかしいのか? そう思い聞いてみた。すると姉だから可愛いと言われる事がなくなったから。と言う。

 同年代の子息令嬢からしたらリュシエンヌは綺麗の部類なんだろうが、私にとっては可愛いとしか形容出来ない! 何をしても何を言っても可愛いのだからこれは仕方がない。

 私はあまりストレートに言葉を伝える事が出来ないのだが、リュシエンヌの喜ぶ顔が見たい。私の拙い言葉で喜んだり照れたりする姿はこの世のものとは思えない程の可愛さで溢れている。


 リュシエンヌが私の部下たちに差し入れといいクッキーを渡していた。隊員達は休憩中に全てを食べてしまったらしい。
『私の分を残そうとは思わなかったのか?』
 
『隊長はいつでも食べられるではないですか!』
『隊長のくせにあんなキレイな子と婚約をするなんて』
『オイ、いい加減にしろよ』
 本気でキレそうになった私をレオンが止める。

『良いじゃないか、リュシエンヌちゃんはお前の昼食を持ってきてくれるんだろ。私も気の利いた子と結婚したくなってきた』

 小皿に乗せたクッキーをさくさくと食べていた。

『ナッツのクッキーか。リュシエンヌちゃんを思い出す、優しい味だな』
『思い出さなくて良い! 人の婚約者を馴れ馴れしく呼ぶな!』
『え? リュシエンヌちゃんは良いって言ってたぞ』
『……いつ話をした?』
『お前が着替えに行っている間に』

 だから昼食の時にレオンの奴を楽しい方ですのね。と言っていたのか……


『勝手に話をするな』
『良いじゃないか! 交流を深めただけだ』

 ……レオン相手にムキになるのも癪だ。リュシエンヌはリュシエンヌなりに気を遣って話しているのだろう。


 そういえば週末はうちの実家にお茶をしに行くと言っていたな……母と義姉がリュシエンヌを娘のようだとか妹のようだとか言ってデザイナーを呼んだ。と言っていたな。