「あぁ、そうかい。結婚前提という事は婚約をするという事だよね? リュシエンヌが良いのなら反対はしないよ。しかし婚約はもう少し待たないとね」
……何か問題がありますの?
「あぁ……リュシーそんな顔をして。反対をしているわけではないんだよ。婚約をするにはあと一ヶ月ほど待たないといけないんだ。アレとのアレがあっただろう?」
……アレ? とのアレ? はて?
「……モルヴァン嬢、国の決まりで半年待たないと新たに婚約ができないんだ。その……(婚約者が)いただろう? だからすぐには婚約が結べないんだ。しかし伯爵からお許しが出た事だし正式ではないが私は婚約者として君と接するし、すぐに書類を提出出来るように準備しよう」
……そうですわ! 婚約者をコロコロと変えられないように法律で決まっているんでしたわ。男性は三ヶ月、女性は半年でしたわ……
「大事な事ですのに抜けていましたわ……」
浮かれていましたわ。大事な事ですのに。
「閣下のおっしゃる通り、書類をすぐに提出できるようにしておけば良いだけだ。それにたかが一ヶ月だし、その間は恋人同士ということで問題ないんじゃないか?」
……恋人?