週末まであっという間に時間が過ぎた。私は騎士団の隊長をしていて、隊長クラスになると騎士団の寮に住むことは出来なくなる。年齢的にも結婚して家庭を持っていてもおかしくない歳だから……仕方がないのだが。
 実家は兄が継いだから実家から離れて王都の屋敷に住んでいる。ジィさまから譲り受けた屋敷だった。ジィさまとはうちの父方のジィさまなんだが、このジィさまは……二代前の国王陛下なのだ。もうとっくに引退していてのんびりと田舎で暮らしている。
 
 バァさまも都会は疲れた。と言い悠々自適な生活を送っているが、二人の年齢のせいか私はこき使われ、魔物が出たから討伐しに来い。と言われてたまに呼び出される。

 初めて魔物退治をしたお駄賃(お礼)と言ってくれたのがこの今住んでいる屋敷。アゴで私を使うようなジィさまだが尊敬している。ジィさまが住んでいる田舎町はゴロツキが多く犯罪者も多かったのだがジィさまが住み始めてから犯罪率は一気に減り、その采配ぶりは見事なものだった。
 ジィさまは中継ぎの王で任期は短いながら改革王と言われていて今の国の礎を築いた賢王だ。

 ジィさまがこうやって? 頼ってくれるお陰で今の私がいるので、呼び出されればいかないわけにもいかない。ジィさまがわざわざ呼び出すには必ず意味がある。

 そんなこんなで私にも王族の血が流れているのだが、父は王位に興味もなく騎士として務め上げ国に貢献している。王位継承権は放棄している我が家で王家からは信用されているし、兄は若いながら公爵代理として陛下の仕事を手伝っているから私は騎士団に入る道を選んだ。


 現在の我が家の使用人は公爵家(実家)で働いていたもの、ジィさまの屋敷時代から働いているものが多くいる。
 そしてこのハンナは私が小さい頃から身の回りの世話をしてくれた母のような存在で気軽な関係だ。屋敷は#実家__公爵家__#より狭いので使用人もそこまではいない。
 執事とハンナに任せているのだが、女性の使用人は少ない(理由は私が怖いからだとハンナに怒られた)


「そんなことよりも、連休をお取りになったのですか? 体のことを考えると良い事ですよ。最近はお休みを取ってなかったので心配していたんですよ」

 ハンナにはとにかく休め。と五月蝿く言われていた。私の体を気遣ってくれている。

 
「まぁ、そうだな。最近は働き過ぎたしのんびりするつもりだ」

「のんびりするよりも、やる事があるようにも思えますがね」

「何かあるか?」

「お嫁さんを早くもらってくれないと困ります。どこかに旦那さまの良さを分かってくださる令嬢がいらっしゃらないかしら……」


 ……いたらもう嫁にもらっているだろ。と言ってしまえば情けなくなりそうだ。


「あぁ、早く旦那様のお子様のお世話がしたい」

「そんな未来があると思うなよ……」



 情けない主ですまん。