「モルヴァン嬢はダンスが上手だな」

 身長の高い閣下とダンスをするのは緊張しましたが閣下のリードが上手で粗相する事はありませんでした。

「閣下のリードが良かったのですわ」

 足を踏まなくて良かったですわ。ダンスを終えて閣下とお話をさせてもらいました。


「……しまった。せっかく会えたのにハンカチを持ってくれば良かったな」

 ……すっかり忘れていましたわ。

「ふふっ。毎日持ち歩いていては困りますわよね。本当に返却は不要ですので、捨ててください」

「いや。そういうわけにはいかない。君はきちんと傘を返しに来てくれた」

 ……傘とハンカチじゃ釣り合いが取れませんわよね。それでも閣下は納得なさらなそうですし。



「私は学園が休みの週末になると王立図書館に行くことが多いですし、宜しければ騎士団の練習を観に行ってもよろしいですか? その時にでも……」

「騎士団の練習なんて見ても楽しくないだろう? それなら時間を指定してくれれば図書館に行く」


「いつ行けるか分かりませんもの。ですからわたくしが行きますわ。それに練習は迫力があって楽しかったですわよ」

「そうか……それなら待っているよ。モルヴァン嬢が見学に来てくれるというなら無様な姿を見せるわけにはいかないな」

「ふふっ。閣下の勇姿を見る日を楽しみにしていますわ」

 そうだわ!