「悪く……ないな。ここから見える花火も」



勇輔がつぶやく。



「あそこでいろいろ屋台で何か買って食べたりしながら、でっかい花火見るのもいいけどさ。窓にうつるちっちゃい花火見たこの景色を、星奈と独占するのもいいな」



「……勇輔も何か食べたら?」



「え?」



「勇輔も、ここにいながら何も食べないよりは食べた方がいいでしょ?」



言う立場と言われる立場が、さっきと逆になっているのが面白くて、あたしと勇輔はクスッと笑った。


果物を食べながら、窓にうつる花火を2人で見つめる。


周りからしたら、彼氏がお見舞いに来てくれただけのなんてことない時間かもしれないけれど、あたしにとっては2人だけの小さな小さな花火大会だった。


窓に写ってある、遠い遠い花の光に照らされて、
君の表情がいつもより優しく見えて、
あたしの鼓動が高鳴ったのは、


きっと気のせいじゃないと思う。