恋愛体質

「本当に家近いんだよね。徒歩5分。偶然にも。」

私はくどいくらいに繰り返した。

「ホント。偶然。」

成沢が言った。

「よかったじゃないか。わざわざ引っ越したのにって思ってたけど。これがお前の運命なんだよ、な。」

長谷川さんが成沢の肩をぽんと叩いて言った。なんだか含みのある言い方だった。成沢は黙ったままビールを飲んだ。

「仕事いつから?」

成沢が聞いた。

「5日から。」

私は答えた。

「一緒か。」

長谷川さんが言った。

「お前正月実家帰るの?」

長谷川さんが成沢に聞いた。

「うーん。多分。ちょっと顔出してすぐ戻って来るかな。」

成沢が言った。

「正月休みなんてあっという間だもんな。」

長谷川さんが言った。

「家でゴロゴロしてると親に雑用に借り出されるだけだしどこか行くかなぁ。」

長谷川さんは独り言みたいに言った。

「奈津美ちゃんは?この辺なの?」

長谷川さんが言った。長谷川さんが奈津美を名前で呼んだのがちょっと意外だった。

「私は長野。明日の朝帰るから今日は遅くならないうちに帰る。まだ荷物もまとめてないし。すぐ戻ってくるのにめんどくさい。」

奈津美はぼやいた。