恋愛体質

「ご同伴って、ちょっと!家が近いからだよ。たまたま。偶然。偶然。そんなんじゃないから。ちょっとなんとか言ってよ。」

自信過剰な成沢が、私が成沢に夢中になってるとか何とかとんでもないことを言う前に、私は慌てて否定した。

「家が近いとやっぱり毎朝モーニングコールもしなきゃいけないわけだ。」

奈津美がイジワルく笑いながら言った。

「へぇー。そんなことになってんだ。」

長谷川さんが言った。

「知らなかったよ。成沢。成沢ー!」

長谷川さんは驚いたような、祝福するような、何か言いたげな、なんともいえないちょっと不思議な顔つきで成沢をしばらく見ていた。

「こいつ女なんてちょろいみたいな顔してるけど意外とマジメ。」

長谷川さんが私に言った。

「意外とそんなに器用でもない。」

「そういうお前は器用だよなぁ?え?」

成沢が嫌味を込めた様子で長谷川さんに言い返した。

「褒めてんだぞ。俺は。」

ニヤニヤしながら長谷川さんが言った。

「まあ俺も成沢よりはスマートだな。器用とまではいかないけどな。こいつほど不器用ではない。」

「どこが褒めてんだよ。」

成沢が憮然としながら言った。

「だから安心しな。意外とずる賢い狼にはなりきれない男だから。」

長谷川さんが私に言った。

「安心するとかしないとか、だからそんなんじゃないって本当にただ家が近くなだけ。」

私は完全否定した。