「何?一緒に来てるって?どういうこと?」

「ああ。朝ね、途中まで一緒に通勤してるの。」

別に隠していたわけではないが何故か口に出すと秘密にしていたように聞こえた。

「毎朝?」

「うん。」

「やだぁ。ラブラブじゃん。」

ますます面白そうな顔で奈津美は言った。からかってるに違いない。

「だからぁ、違うって。ただ一緒に来てるだけ。」

「ふぅん。」

奈津美は曖昧にニヤニヤと笑っていた。

「予想通り。」

「え?何が?」

私は料理の方に気を取られていた。新しくパスタが追加されたようだ。

「始めから狙ってたでしょ。あのイケメン。」

「そんなことないよ。」

パスタを取りに行こうと考えながら上の空で適当に答えた。

「そうかぁ?しっかりちゃっかり隣もキープして。」

「まあね。だってせっかくならイケメンの隣がいいに決まってるじゃん。でもアイツはナルシストだから別に好きでもなんでもないよ。」

「ナルシストかぁ。まあ、あれだけかっこよければ多少ナルシストになっても仕方ないのかなぁ。」

奈津美はワインを一口飲んだ。

ワインと同じような色のざっくりとしたセーターの袖口から奈津美の細くて華奢な腕が出ていた。綺麗にネイルした細い指がすごくセクシーに見える。