「さ、そろそろ寝よ。ああでもあと一話だけ・・・」

 母はリビングでイケメン揃いの韓流ドラマのDVDを見ていた。2つ年上の姉もつられて見ていた。イケメン好きはつまり遺伝なのだ。

 でも残念ながら父親はイケメンのカケラもない。それを非常に残念に思っているのは私達姉妹ではなく母のはずだ。

 私達姉妹と母という女のトライアングルの中でも母が1番のイケメン好きだと自称しており、私も姉もそれを認めている。

 母の人生の最大の悲劇は父がイケメンではなかったことかもしれない。

「私にもちょうだい。」

「私も。」

 風呂上がりに冷凍庫からアイスクリームを出してきて食べはじめると二人の女がすかさず要求してきた。

 ドラマに熱中していたはずなのに、こういう嗅覚の鋭いところは女性特有のものなのか、我が家の遺伝的要素なのかはわからない。

 私は冷凍庫からアイスをあと2つ出してきてスプーンと一緒に2人に渡した。