恋愛体質

 ナルシストとは帰りまで一緒だった。同じ沿線というだけでなく利用駅まで同じだった。

 途中で人が降りて目の前の座席が空いた。

「座れよ。」

 ナルシストは私に言った。

「ありがと。」

 私は早速お言葉に甘えることにした。座っているとでも眠くなってしまう。私は立ち上がりかけた。

「何だよ?座ってろよ。」

「眠くなっちゃいそうだから。」

 私は言った。

「起こしてやるから座っとけよ。」

 ナルシストは私の肩を押して座席に戻した。

「寝てたら起こしてくれる?他人のふりして自分だけさっさと降りちゃったりしない?」

「他人だろ?俺だけ降りちゃうかもな。」

 からかうように笑いながらナルシストは言った。

「ほらね。やっぱり立ってる。」

 私がまた立ち上がろうとするのを押し止めてナルシストは言った。

「起こしてやるから座ってろよ。」

 ニヤニヤと笑っているナルシストを私は軽く睨みながら座り直した。