恋愛体質

 集まった顔ぶれを見たらそんな反省もすっかり忘れてしまった。誰ひとり私好みの男なんていなかったから。

 いや1人だけかっこいい男がいた。しっかり自分のかっこよさを自覚しているタイプ。かっこいいことは認めるがナルシストに違いない。あまり好きなタイプではなかった。

 それでも席は隣をキープした。どうせ興味ないならイケメンの方がいい。とにかく喉がからからなので美味しいビールが早く飲みたかった。

「早く座って飲もうよ。」

 絵里の友達だという小山内くんという男子が言った。小山内くんは確かにビジュアル的にはパッとしなかった。でもいかにも人のよさ気な雰囲気が顔にも出ていた。

 私たちは適当にバラけて座り、絵里が私と奈津美を紹介して小山内くんが男性陣を紹介した。

 私の隣のナルシストはしかも成沢といった。思わず顔がニヤついてしまった。

「何?」

 成沢がにやりと口元にニヒルな笑いを浮かべて言った。

「俺に何か?」

 成沢は私を品定めするみたいに上から下まで一瞬視線を素早く走らせてから強い視線を投げてきた。

 (やっぱりね。ナルシストに違いない。)

 私は今度は押し隠そうともせずに笑って言った。

「ううん。別に。」

 成沢はフンという風に前に向き直った。