「おはよう。」

キッチンにいた母に声をかけた。

「おはよう。あれ?休みよね?早起きしてどこか行くの?」

「うーん、出かけるー。」

あくびをしながら洗面所に向かった。歯磨き、洗顔、ベースメイクまでしてから朝食を食べにダイニングに行った。

コーヒーをいれてパンをかじる。

「ママも食べようかな。どうせ2人は遅いだろうし。」

そう言いながら母も食べはじめた。

私は時計を見て急いだ。コーヒーはネイルをしながらにしよう。

「遠出でもするの?」

母がさりげなく聞いてきた。

「わかんないけどドライブ。」

私は言った。

「あらっ、デートね。」

母はいたずらっぽい声で言った。私は黙っていた。

「じゃあお洒落しないと。」

「普通の友達だよ。」

私は言ってみた。

「どんな人?カッコイイ?」

母の頭の中に今浮かんでいるであろうイメージが想像出来た。

母が夜な夜な鑑賞している韓国ドラマに出てくるような文句なしのイケメンとドライブする図。

しかし母は肝心なことを忘れている。ヒロインが美白化粧水のCMに出てくるような誰もが憧れるような女優ではなく、ごく平凡な娘の私だってことを。