あの日の出会いを、僕はまだ覚えている

「私、海生くんのこと、もっと知りたい」

自然と口をついて出た。

そうだ、恋なんかじゃなくて、もっと純粋に。
海生くんのことを知りたいと思っている。

あの日、一日だけの特別な日じゃなくて、もっとずっと一緒にいられたらって思ってた。一緒の中学に通えたらどんなにいいだろうと思っていた。もっとたくさんおしゃべりしたいと思っていた。

海生くんはふっと目元を緩める。
あの日の面影がふわりと過った。

「俺も、魚月ちゃんのことをもっと知りたい。改めて、友達になろう」

差し出された手は大きい。
男の子だった海生くんは大人の男性になっている。
そのことに改めて胸がきゅんとなる。

海生くんの手にそっと触れる。

ぎゅっと握手を交わした海生くんの大きな手は、春の陽だまりのように暖かかった。


【END】