あの日の出会いを、僕はまだ覚えている



処置室で何針か縫われた私は痛みに顔をしかめた。

どうやらプールサイドですべって転んで運悪く飛び込み台のあたりで頭を打ってしまったらしい。その場に倒れたこととあまりの流血のひどさに佐藤先生が救急車を呼んでくださったのだとか。ちょっとその辺の記憶が曖昧だ。

そんなわけで、今私の目の前には海生くん、もとい天早先生がいるわけで……。

まさか救急車で運ばれた病院が先日生徒を連れて行った救急病院で、さらに今回の担当も天早先生だとは誰が予想しただろう。

テキパキと処置をする海生くんは白衣がよく似合うなぁ、なんてベッドからぼんやり眺めているとふいに目が合う。

「魚になって会いに来てとは言ったけど、まさかこんな風に会いに来るとは思わなかったな」

呆れたような、はたまた笑いを押し殺したような海生くんは私の頭の包帯をそっと触る。まだ頭はズキズキとするけれど、ぱっくりと切れただけで他に異常はなかった。

「大事にならなくてよかったよ」

「うっ……。私の方こそ、こんな風に会いに来るつもりはなかったの」

そう、また会いたい、会えたらいいなって、そんな風には思ってた。なのにこんなマヌケな再会をするだなんて情けない。

「会いに来てくれるつもりはあった?」

「えっ?」

海生くんに真っ直ぐに見つめられてトクンと心臓が音を立てる。

そりゃやっぱり、海生くんとの思い出は特別だし、いつかまた会えたらいいなって思っていたし、先日偶然に会ったことで気持ちも高まっていたし……って、急に海生くんへの想いが溢れ出てきて私は焦る。