病室に戻った。
屋上から聞こえていた騒音は無く、鳥肌が立つくらいにシーンとしていた。
たまに、心電図の音が聞こえるのみだ。

「紬希、頼む、」

紬希が眠っている間、何度も握った右手を、同じように握った。

「紬希、目、開けてくれ…。手、握り返してくれ…。」

紬希はビクともしない。



_脳死判定まで、残り5分。

いつもは聞こえない腕時計の秒針の音さえ明確に聞こえた。