1番親しい間柄である一ノ瀬先生に、紬希の今後についての相談をした。

「あと1ヶ月目を覚まさなければ、脳死、という判断になってしまいます。」

「…うむ、そうか、それは、」

一ノ瀬先生には、いつものにこやかな笑顔は無く、険しい表情をしていた。

「脳死というのは、とてももどかしい状態です。他の臓器は機能しているのに、脳だけが、」

俺は、涙で頬を濡らしながら、一ノ瀬先生に、辛い気持ちを伝えた。
一ノ瀬先生は、俺の背中をさすりながら話を頷きながら聞いてくれていた。辛いね。苦しいね。と。

本当に今辛いのは、苦しいのは、紬希なのに。

辛くても誰とも話せないし、涙も流せないのも、紬希なのに。



俺は、そんな紬希の心境も知らずに、勝手に泣いて。

そんな自分に、腹が立つ。