紬希が倒れて1週間が経過しようとしていた。
未だに彼女は目を覚まさない。

あれから毎日欠かさず、紬希にその日あった出来事をベッドの傍で話している。

きっと、暗闇の中で、辛い思いをしているだろうから。



「紬希、夜勤終わった。暗い話になるけど、今日、一人亡くなられた。大怪我の患者で。」



紬希は、頭を包帯でぐるぐる巻きにされ、酸素マスクをつけ眠ったままだ。
身体から伸びた無数とも言えるほどのコードが、機械に繋がれ、規則的で恐ろしいリズムを刻んでいる。



「……紬希。聞こえてる?もしかして俺の声、届いてない?」

そう問いかけるも、やはり紬希からの返答は無い。当たり前だ。でも、俺の言葉に答えてくれるわずかの可能性を、信じてしまっていた。