「暑くないか?クーラーの温度下げる?」

日に日に暑さが増してきていた。
セミはまだ鳴いていない。

「25℃くらいでいいよ。」

「了解。28℃は少し高すぎたかもな。」

「エコではあるんだけどね。」

紬希は、少し笑いながらそう言った。

「何日入院なんだろう。この点滴もいつ取れるのかな。」

「検査入院も兼ねてるから、そんなに長くは無いと思うよ。辛いけど頑張ろうな」

俺は、何度も患者に言ってきた言葉を、紬希にも伝えた。

腹の中ではやはり、どうして早く言わなかったのかというイライラが募っていた。