奇跡は起きない

_旭大、君はいつか、俺のような患者を救う救世主になれよ。ま、お前は心臓外科医じゃないけどな。_

記憶の中で、ふはは。と笑うのは、あの日の恩師。

俺も、その笑い方につられてふははと返した。


_俺は死ぬが、死んでからが人生だと思っている。これまでのは序盤だ。_

_だから、これからお前に何かとてつもなく不幸なことが降り掛かっても、決してめげないで欲しい。_







_"遺言"とでも言っておこうか。_



恩師は、それからほどなくし、ぽっくりと逝った。