「……ごめんなさい。」

「…紬希の口から聞くまで俺はここにいる。」

鳥のさえずりが聞こえてきた。もう世が明けたのだろうか。カーテン越しには薄暗いが、太陽光が差し込んでいた。

「最近、なんか胸が痛いなって思ってて、病院行ったら、その、狭心症って言われて。」

俺は、心臓がドキリとした。先程の悪い妄想が的中してしまった。


_俺、狭心症なんだよね。この前病院でそう言われた。

_ああ、でも大丈夫。仕事は体調に気をつけながらしても良いって言われたから。


亡くなった恩師は、確か狭心症による心筋梗塞で亡くなっていた。

大切な人を亡くしたあの瞬間、俺は今でも痛いくらいに覚えている。

今度は、紬希までも失うかもしれない。

とんでもない恐怖感が、俺を一気に襲った。