極悪人の抱き枕になりました。

「俺の後をついてきてたんだ。ここのオートロックも入れるようにわざとゆっくり閉めてやった」


伊吹がふんっと鼻を鳴らして言った。
新は険しい表情を伊吹へ向けた。


「それは、わざわざどうも」

言いながら夏波の手を掴む。

「夏波、ここから出よう」

「で、でも……」


一応借金のカタとしてここへ来た。
それなのに伊吹に無断で出ていっていいものかどうか。

「帰ればいい。ただし、そいつの家にな」

伊吹が出した条件は、たったそれだけだった。