極悪人の抱き枕になりました。

その中には夏波が用意したアロマの匂いも混ざっていた。


「私を……あの家から連れ出してくれたの?」


質問に伊吹は答えなかった。
伊吹は夏波を現状を知っていて、だからこそ母親に『娘を差し出せ』と提案したのではないか。

そんな気がしてならなかった。


「親子でも離れたカタがいいパターンはある」


伊吹の低い声にまた涙が溢れ出した。


「でも、彼氏が迎えに来たなら問題は別だ」


そう言って身を離された夏波は伊吹が後カタを見ていることに気がついた。
視線を向けると、寝室の前に新が立っている。
新は今にも泣き出してしまいそうな顔でこちらを見ていた。


「新!?」


驚いて立ち上がる。


「新、どうしてここに?」