「葵凪ちゃん。」

子供ながらに、精一杯気持ちを伝えたのを覚えている。








「いつか、僕のお嫁さんになってね。」



葵凪は元気よく頷き、走って去っていった。

砂場には、最後に2人で作った大きな砂山が残っていた。

夕日に照らされた公園は、その日だけ物悲しい雰囲気を醸し出していた。

母親は、葵凪が去った後、たしか俺にこう言っていた。

「葵凪ちゃんとは、きっとまたどこかで会っちゃうわよ。お母さん、分かるんだもん。そんなに悲しい顔しなくて大丈夫よ。」

母親は、俺にそう言ったが、俺はムキになって答えた。

「…別に悲しくねーし。」