「わたし、お引っ越しするの。おとうさんと一緒に住むの。」

葵凪から、そう告げられたのは出会って1ヶ月ほど経った頃だったように感じる。
実際にはもう少し長かったのかもしれない。

「どうして?どこにいっちゃうの?葵凪ちゃん。」

「葵凪も分かんない。だから琉叶くんとは、今日でばいばいなんだ。」

そう言うと、葵凪は、いつも被っている麦わら帽子を俺に被せた。