好きな子が可愛すぎて付き合うのが前途多難な件

こっちは一世一代の告白をしたんだぞ。

柚は考えるような素振りをみせ、意味ありげに微笑んだ。


「私も渉のこと好きだよ」


ずるい。この小悪魔が。

たったそれだけでこっちは言葉を失った。

「嬉しい」だとか「ありがとう」だとかもっと何か言うべきなんだろうが、頭がぼうっとしてそれどころではない。

熱に浮かされたようだ。


「ほら置くてくよ〜」
「いや、ちょ、待てよ!」


ようやく掴んだと思えばするりと逃げていく。

もしかしたら俺はまだ柚を射止めれていないのかもしれない。


「今の冗談?本当?」
「・・・・・」


柚は答えない。

スタスタと俺を置いて進んでいく。

あとから思い返せば柚なりの照れ隠しだったのだろうが、この時の俺にはその発想がなかった。