私とあの子

「ちょっと姉ちゃん、今いいかぁ?」

路地裏の方から、そんな声が聞こえた。
いつもなら、気に留めない。あぁ、誰かが間違えて入っていったんだとしか、思わない。
でも、今日は違った。なぜか、気になって、
そこに入っていった。

「俺さ、今金なくて、10万よこせよ」

案の定、女が絡まれている。それを見て、こいつも怖くて金を渡して逃げるだろうと思い、俺の出る幕はないな。そう思った。

「すみません。私もそんなに、持ってない
です」

予想外の返答だった。

「あぁ⁉︎じゃぁ、有り金、全部よこしやがれ!」

あぁ、いるよな。こういう不良。思い通りにいかないと、暴力で解決しようとする奴。

「おい、俺のナワバリで何してやがる?」

女が不憫に思ったのと、ムカついたのとで、
女を助けてやった。どうせ、助けた後に媚びってくるだろうなと思いながら、

「ひっ東条様、、!!ど、どうかお許しを」

俺を見て、ビビり出す不良。弱いやつはこう言うことすんなつーの。

「チッさっさと散れっ!」

そそくさと逃げていった、不良。

「助けていただいてありがとうございました
東条様?」

やっぱりこいつも同類か?でも声が...?

「やめろ女。様付けとか、敬語とか
吐き気がする」

「じゃぁ、東条くん。ありがとう」

そう言うと、当たり前のように、タメ口で話し出した女。面白い女だな。気まぐれに名前も教える。

「苗字嫌いなんだ。名前で呼べ。東条 宇宙(とうじょう そら)だ。呼び捨てでいい」

「宇宙?」

「あぁ、それでいい。お前、その制服って事は、南高か。俺のこと知らねーの?」

南高じゃなくても、ここらの奴は、俺のこと
知ってる奴が多い。

「知らないよ。転校生だし。
それと私の名前は、 夢野玲。玲って呼んで」

知らない上に、名前で呼べ?こいつ面白いな

「ハハッ面白いな、玲。これからよろしくな!」

しばらく、退屈しなさそうだ。