すると老齢のご夫妻が立っていた。

 「柊さんのご両親だ。私の方で少し声をかけさせてもらった。原田先生は席を外しなさい。彼は君を見ると逆上する。別れた奥さんの話も含めて私が聞いてみよう。平田さん、急にありがとう。後のことはこちらに任せて下さい。迷惑をかけましたね」

 「いいえ。ありがとうございました」

 「院長、よろしくお願いします」

 すると、老夫婦が事情を聞いたのだろう、深々と美鈴に頭を下げた。

 三人がまた入っていく。

 隣の打ち合わせ室に美鈴と入った。

 「美鈴。同席するとは聞いていなかったから驚いたよ。大丈夫か?」

 「ええ。でも、今日お話しするって先生言ってたでしょ。だからきっとそのことだと思ったの」

 「とりあえず、落ち着くといいんだが……ま、何があろうと俺が君の側にいるからな」

 「柊さん、諦めてくれるかしら?そうしたら先生に迷惑かけず済むのに……」

 「おいおい。俺の方の問題はまだ解決してないんだよ」