「柊さん。少し大きな声で話されていたので後ろに聞こえていました。落ち着いて下さい」
「院長先生は何のお話しですか?息子のことですか?美鈴さんまで……」
「柊さん。うちに来ている読み聞かせの司書さんを自宅まで追いかけ回したり、帰り際に待ち伏せしているのは本当ですか?」
院長が一人席に座り、静かに話し始めた。美鈴は俺の横に座った。目の前には柊さんがいる。
「何か私に恨みでもあるんですか?彼女を僕から取り上げようとして、しかも……。院長、待ち伏せじゃない、そんなことしていません。彼女が好きでお付き合いの話がしたいから訪ねていったんです」
院長は深いため息をついた。
「柊さん。彼女あなたに交際を最初から断ったそうですが……確認したところ、柊さんが彼女に言い寄っているのを警備員が何度も見ています。わかっていますよね、相手が嫌がっているのにそういった行為をすることをストーカーといいます」
「……ふざけるな、邪魔したのはそっちだ!」
美鈴は辛そうな顔をしている。俺は手を握ってやった。
そうしたら彼女は俺の顔を見た。それを見ていた柊さんが大きな声を出した。
「美鈴さん。誰とも付き合ってないと言っていたじゃないですか!」



