小児科医は癒やしの司書に愛を囁く


 「だって、美鈴お姉さんは優しいし、痛いことしないもん。先生は痛いことするから嫌い。たまに優しいときは好きだけどね」

 私は弘樹先生の前でそう言うたかしくんのことを見て言った。

 「たかしくん。弘樹先生はたかしくんといっしょにわるいびょうきとたたかってくれているんだよ」

 「そうなの?でも、なおらないもん」

 たかしくんが寂しそうに呟いた。

 「隆。大丈夫だ、必ず治る。一緒に頑張ろう。お薬はいっぺんにたくさんいれたりできないんだ。まだ身体が小さいだろ?」

 「うん」

 弘樹先生が隆君の頭を撫でている。
 みんなそれを見てうらやましそうにしてる。

 「はい。じゃあ、今日は本を借りてくれたお友達には私がお礼に頭をなでなでしますよ」

 そう言うとみんな嬉しそうに本を選びはじめた。ピッと音を立てて貸し出しした子の頭を撫でる。
 嬉しそうに目を輝かせている。