先生がこちらを見た。 「おい、あそこでいいのか?」 アパートの緑の屋根が見えてきた。 「はい、そうです。駐車場が裏手にある有料の駐車場になってしまうんですけど……」 「了解」 先生が私の背中を押しながら荷物を持ってキョロキョロして、進んでいく。 「何階?」 「二階です」 部屋の前まで一緒に行って、扉を開けた。 「中で待っている間お茶でもいかがですか?」 「いや。部屋をかたづけるには俺はいないほうがいいだろう。ちょっと周りを見ながら下で待ってる。連絡して」