小児科医は癒やしの司書に愛を囁く


 そうはいっても、あのねえ。あの恥ずかしさは一生忘れない。義理のお母さんに出産を見られるなんて、辛すぎる。

 彼の子供の可愛がりようときたら、信じられないほどだ。もちろん乳児の扱いに慣れているというのもあるが、暇さえあれば見に来てキスして出て行く。

 娘であるこの子の将来が心配。一人っ子はやめた方がいいと思う。彼女への執着が強すぎる。数人いれば少しは緩和するだろう。

 彼の資格が取れ次第、独立に向け準備が始まる。私も今の図書館と提携して移動図書館を立ち上げる予定。子育てもあるので、かえって時間を決めて働けるこの仕事の方がいい。

「美鈴、愛してる」

 今日も私を抱き寄せ、彼は呟いた。

「私も愛してる、弘樹さん。産後で少し太っている私でも返品不可ですよ」

「ああ、もちろん。俺もお腹が出て白髪のおじさんになっても返品不可だぞ」

 顔を見合わせて笑い出した。

 天国のひー君、ママ、見てる?美鈴はあのときの病院にいた男の子と結婚しました。とても幸せです。

fin.