小児科医は癒やしの司書に愛を囁く


 予定日までまだ一ヶ月以上あるが、早めに産休へ入った。本を運ぶのが辛くなってきたからだ。

 少し動きすぎと言われていたのもあって、大人しくしようと思っていたら、破水してしまった。

 彼に連絡したら飛んで帰ってきた。すぐに病院へ入った。

 分娩台の周りに何故かマスクをした医者が大勢いる。彼とお母様。そして産婦人科の先生。

 立ち会うという感じではない。ハッキリ言って、すごい圧力。担当医の先生が私はいらないかもと笑っていた。

 どうして、みんなここにいるんだろうと考える余裕もなく、すごい陣痛に苦しみ、彼の大声に応援されているうちにとうとう赤ちゃんは出てきた。

 お母さんは同期の産婦人科の先生とわーいわーいと喜び合い、彼も泣いている。泣きたいのはこっちよ。

「もう、今度産むときは隠れて産みたい。恥ずかしかった……」

「何言ってんだよ、こんな安心な出産はないだろ?何かあれば帝王切開も母がいるし、産科の先生も楽だって言ってたじゃないか。俺も乳児の診断がすぐに出来るから、子供に何かあれば即対応だ」