「そうだったんですね」

「小児科専門病院にする。移植もできるような専門病院にしたいんだ。君はそうしたらうちを起点に病院訪問の仕事をして欲しい。他の病院に訪問するのは構わないが、自分の夫の病院を起点にするんだ」

「それなら、私の考えたキッズルームにしていい?図書室やプレイルームも作りたいな。それと親や家族の泊まれる部屋が欲しい」

「ああ、もちろんだ。乳児もいるし、年齢に会わせた部屋が出来るといいな」

「どうしよう。楽しみすぎてドキドキする。あー、胸が痛い」

「どれどれ?診察しましょうか、お嬢さん……前を見せて下さい」

「もう、馬鹿!」

 私はシーツを引っ張る彼の手をひっぱたいた。

「そうだ、弘樹さんのお母様に会ってないのよ。許してくれるの?」

「ああ、それだが大丈夫だ。大分前に話してある。君に会いたがっていた。母も君の事を覚えていたよ。ただ、忙しい人でね。外科医なので予定がびっしりだ。あとで調整しよう」