小児科医は癒やしの司書に愛を囁く


 「住所教えて」

 ナビを操作して弘樹先生がうちの住所を入力した。

 「車だと近いな。十五分くらいだ。電車だと遠回りだろ」

 「そうなんですよね。出来れば車で通いたいんですけど……」

 「車を持ってないのか?」

 「はい」

 「君の基本情報があまりなかったんだけど、聞いていい?」

 「あ、どうぞ」

 「君、いくつ?」

 「二十七歳です。あのちなみに先生は?」

 「俺?いくつに見える?」

 私は先生をじっと見て言った。

 「うーん。三十歳くらい?」

 「そんな若く見えるのか。嬉しいな。俺は三十二になる」

 「そうなんですね。先生はしゃいでる姿しか思い浮かばないから……若く見えるのかも」