「まあ、そうだね。患者さんやその家族には言ってなかった。恥ずかしかったからね。しょっちゅう、母が帰ってこないから夕方過ぎると病院でうろうろしていたんだ」
「だから会うことが多かったんですね。私も小学校から帰ってきてからだったし、弘樹さんもまだ小学生でしたよね?」
「そうだね」
「先生に出会うなんて……しかも、こんな風になるなんて……」
「知ってたら絶対同居しなかっただろ?俺も誘っていなかったと思う」
「じゃあ、お互い気づかなかったという偶然に感謝するしかないですね」
「さあ、どうだろう?小さい頃親しかったとは言わないが、何度か話をしたことがあったと思う。きっとその頃の安心感が今もお互いにあったから惹かれたのかもしれないな」
「私は関係ないと思う。先生のこと、病院で最初に出会った時からすごくいい先生だと思ったの。子供達が本当に懐いているし、優しいし、一生懸命治療しているんだって教えている。すごく大切な事だと思うの。だからこそ、子供達は痛くても頑張ろうって思うんだから」



