小児科医は癒やしの司書に愛を囁く


「うん。病院訪問は子供のエネルギーをもらうから元気になっちゃうんだ」

「でも、病気の子供でしょ?そんなに元気なんてないんじゃないですか?」

「そう思うでしょ。それがね、そうでもないの。普段静かにしてろって言われてるからその反動か、私にはそう言われないからかみんな饒舌になって元気になるんだよ。それはそれで走り回ったりして困るんだけどね」

「へえー。今度一度見学させてもらってもいいですか?」

「うん。私も行くこと出来ない日が出てくるから、お願いします。覚えてもらえると助かります」

「了解です。子供好きじゃないと司書の仕事は難しいですよね。僕は割と好きです」

「そう?ならよかった」

 図書館に着いて、荷物を運び入れていたら、駐車場で視線を感じた。なに?振り向くと、弘樹さんが自分の車の横で腕組みをしてじっと私を睨んでる。

「……あれ?弘樹さん、どうしたの?」

 榊原君は目配せすると荷物をカートに乗せて入っていった。