「たぶん、痛いことや辛いことを私は彼らにしないからですよ。先生達だってやりたくてやっているわけじゃないですけど、あの子達にはそれがまだわからないだけです」
「まあ、確かにそうだな。でもそれだけじゃないだろう。君には子供達が懐くだけの柔らかさがあるんだろうな」
「だとしたら、この仕事をしている意味があります。そうだ、住田病院も行くことになりました」
にやっと宝田院長が笑った。
「そうかい。原田先生も結局手伝いに行っているし、良かったよ。住田先生も喜んでいるだろう。君のお陰かもしれないな、原田先生が住田先生と仲直りして最近よく話して帰るそうだよ。住田先生が喜んでいた」
「そうですか。あちらでも頑張ります」
「そうだな。この病院訪問は出来る限り小児科では取り入れたいと皆思っている。是非よろしく頼むよ」
「はい」
病院を出ると、迎えの車が来ていた。新しい司書の榊原君。文恵さんの代わりに入った。他の図書館での経験もあって頼もしい。
「平田さん、なんか朝より元気ですね」



