小児科医は癒やしの司書に愛を囁く


「うん……頑張ってる。美鈴ちゃんありがと……」

 ぎゅっと抱きしめてあげる。いつも親や先生から治療前に頑張れと言われているのを見るが、褒められているところはあまり見たことがない。第三者が見守っているという気持ちを示してあげることが何よりだと思うのだ。

「ぼくにもやってー」

 四歳くらいの男の子が抱きついてきた。

「だめだよ、順番だよ。並ぶんだよね、美鈴お姉さん」

「そうね。読みたい本を一冊持って並んでね」

 みんな本当に可愛い。撫でるどころか抱きしめたい。久しぶりの楽しい時間。やっぱり私のライフワークはこれだと思った。振り向くと院長先生が立っている。

「宝田先生。また、お世話になります。以前は色々ありがとうございました」

「平田さん。久しぶりだね。プレイルームのほうから歓声があがっていて気になって見に来たんだ。すごい人気だね。前の人は落ち着いた大人の女性だったが、君は子供達に好かれている。是非、先生や看護師にその秘訣を教えてやってくれ」