「それも全部お前のためだよ、美鈴。お前のことを真剣に考えているが、今のままでは先に進めないと言っていた。それに父親である私が住田病院の息子と自分の娘が一緒にいることをどう考えているか知りたいと言っていたんだ。あと……お前の母親が亡くなっているという話もおそらく弟が亡くなったことに関係していませんかと聞いてくれた」

 先生……。私は下を向いて涙をハンカチで抑えた。

「……」

「正直に話した。あれから様子がおかしくなって、食欲もなくなったことなどね。死因は別だが、仁史のことは関係していないとはとても言えない」

「お父さん……」

 すると、父は急に私に向かって頭を下げた。

「悪かったな、美鈴。お前を高校時代からひとりにしたことや、結局あいつを最後まで支えてやれなかったのは全部俺が悪い。それにもかかわらず今のお前は再婚して逃げた俺を責めずにいてくれる」

「……お父さん……」

「お前は彼が好きなんだろ?好きじゃなければ同棲したりしないよな」