小児科医は癒やしの司書に愛を囁く


 「手伝うか?」

 「いえ、大丈夫です。お先に上がって下さい」

 「ああ。たまには食事でもと思ったんだ」

 「……すみません。今日はちょっと用事があって……」

 「そうか。じゃあ、またの機会に。お疲れ」

 「はい、お疲れ様でした」

 時計を見るとすでに七時になろうというところだった。この図書館は水曜日が六時までなのだ。
 出口で柊さんに捕まり、その後先生と色々話していて遅くなったんだろう。

 車も混んでいた。帰宅ラッシュに捕まったんだなとわかった。

 ようやく本を書架へ戻して、箱を片付けたところで携帯電話のバイブ音に気付いた。
 弘樹先生だ。

 「はい」

 「終わった?」

 「ええ、丁度たった今終わりました。すごいタイミングです」

 「そう。じゃあ、駐車場にいるから来て」