「……そうだったのか。じゃあ、いいところを紹介するよ」
「え?」
「とりあえず、行ってみてから決めればいいよ。荷物を運ぼう。暗くなってからだとまずい。さっきの様子だときっと邪魔されたのにいらついて、今日のうちにアパート周辺へ現れる可能性が高い。俺や警備員のいないところに現れるぞ」
とりあえず、先生の言うとおりだと思ったので、怖いのもあってお願いした。
そこで携帯電話のやりとりをして別れた。図書館で先生が車で着いたら連絡をくれるという。
車で図書館へ戻り、箱をまたカートに乗せて館内へ運んだ。
「平田、おかえり」
「あ、先輩。戻りました」
「遅かったな。今日はもうそろそろ閉館だ。水曜日だからな」
同じ司書の高村先輩が声をかけてきた。彼は二年先輩。偶然、大学も同じでゼミが一緒だった。ゼミ旅行で一度話したことがあって、司書になりたいという話をしていた。その後、ここの図書館に本を借りに来たら先輩が就職していて、私の就職のときに紹介してくれたのだ。



