小児科医は癒やしの司書に愛を囁く


 「……そうだったのか。俺も君以外の人が来るとか考えるだけで嫌だ。水曜日は君のお陰で子供達は大人しいし、俺も……その、楽しみにしてるんだ」

 恥ずかしそうに話している。でも嬉しい。

 「嬉しいです。私も先生と会えるの楽しみですよ」

 彼が驚いたように私を見た。まずい、嬉しくて余計なこと言ってしまった。

 「先生、面白いし……子供達との掛け合い」

 ごまかした。

 「……子供達との掛け合い、ね」

 すごい目で見てる。うう。

 「とにかく、俺はすぐ近くのマンションに住んでるから、図書館まで車を出す。君はここから車で図書館へ行って、俺が家まで送る。そして荷物を取ってくるんだ」

 「荷物を取ってきたって行くところがないです。うちは実家がないので……」

 「実家がない?」

 「母は他界していて、父は再婚して家庭があるんです」