小児科医は癒やしの司書に愛を囁く


 「おい、危ないってわかってる?ひとり暮らしなんだろ?」

 うなずいた。わかってる。最近は本当に悩んでる。三日前、仕事からアパートに帰ってきたとき柊さんらしき人を電柱の柱の陰に見かけて、驚いて部屋に入り、窓から見たらこちらを覗いているのが見えて怖くなった。

 その話をしたら、弘樹先生はだんだん顔をしかめて、うなりだした。

 「誰かに相談した?」

 「……ま、まだ。あ、今先生に相談しました」

 「馬鹿っ!」

 大きな声で怒られて身をすくめた。

 「危なすぎる。アパートへ帰るのはしばらくやめたほうがいい。柊さんのことはすでにあんな感じだとかなりまずい。彼はシングルファーザーだ。母親のいない隆君が君に懐いてしまって、君を隆君の母親にぴったりだと勘違いしているのもあるんだろう。何かあったら大変だ。柊さんは実家に両親がいるから結構自由に外出できるんだろう」

 「……そうですね。私のやり方も悪かったんですかね」