「あの、すみませんでした」

 彼女に頭を下げた。すると胸元で呼び出しが鳴る。携帯に出た。

「はい、原田です。ああ、わかった。すぐ戻る」

 俺が話し終わったのを見て彼女は話しかけてきた。

「先生。彼女、あなたのマンションへこれから戻るそうです」

「本当ですか?」

「……先生。本当はどういう関係なのかきちんと話すことですよ」

 俺はうなずいた。すぐにナースステーションに戻らねばならない。

「ありがとうございました」

 もう一度頭を下げると急いでそこを離れた。仕事を片付け、今日は残れないとアナウンスしながら仕事をする。

 急患はしょうがない。ただ最近の俺の忙しさもあり、今日は朝から見るからに様子のおかしい俺を心配して、看護師達は珍しく一致団結して協力しますと言ってくれた。