「どうして俺のために出て行くんだよ。誰がそんなこと頼んだ!君のやっていることは正反対だ!」

『……だって、先生帰ってこなくなったし……』

「それは忙しいからだ。説明しておいただろ?」

『それだけじゃないでしょ?嘘つかないで……』

「嘘なんてついてない!とにかく帰ってきてくれ。そうじゃないと心配で眠れない……」

『先生……』

「頼むよ。何か俺が気に障ることをしたならいくらでも謝る」

 するとそれを見ていた隣の彼女が携帯を奪い返した。

「……あっ!」

「美鈴ちゃん?ごめんね。先生に携帯奪われた。何か理由があったなら、話してから行って欲しかったな」

『ごめんなさい……文恵さん』

「とにかくね、先生の様子が見た目からしておかしいから寝てないのは確かよ。患者さんの為にならないから美鈴ちゃん、すぐに戻りなさい」